江戸時代の商業の中心日本橋
江戸時代の浮世絵師歌川広重が描いた“江戸日本橋”は、今もこの地に残っている。およそ200年前に描かれたその絵の世界からはすっかり風景が変わったが、活気あふれる江戸の空気は、今なお残る老舗の店や、百貨店、新たに建設された商業施設などに受け継がれ、 “商業が盛んな江戸の中心”という誇りが守られ続ける。 17世紀初頭の江戸幕府が始まったころ、将軍の居城“江戸城“を中心に町が整理され、商人や庶民が住むエリアとして発展したのが日本橋界隈。日本橋は町人地としてのにぎわいだけでなく、日本各地へつづく道の起点であったため、様々な地域から来る人々がにぎやかに出入りし、地域の物産が取引され、つねに活気があふれていた。 このエリアには、今でも江戸時代創業からつづく老舗も多く残り続ける。また、日本銀行や東京証券取引所があり、メガバンクが立ち並ぶ金融街としても有名。一方では新しくオープンした商業施設”Coredo室町“が新たなランドマークとなり、古さと新しさの中で江戸の活気を伝え続けている。
日本橋の町を散策
日本橋の町の見どころは、1603年に建設されて以来、常に町のシンボルであり続ける“日本橋”(重要文化財)。開橋当時は、浮世絵に描かれるような、木造の大きな半円を描く1連の橋だった。(現在、当時の橋のレプリカが東京都江戸東京博物館に展示されている。)その後、時代と共に繰り返し建て直され、現在の橋は1911年に作られた、石造り2連のアーチのデザインになった。名物の橋の上の獅子の像と羽根のあるドラゴンのような麒麟像が橋を守る。この麒麟像には、かつてここが日本各地への始点だったため“ここから羽ばたく”の意味を込めて作られたという。日本橋には船着き場があり、ここからクルーズ船が発着しているので、舟めぐりも楽しめる。 もうひとつ、日本橋で重要な建物と言えば西洋風建築が目を引く三井本館である。1902年、アメリカのトローブリッジ・アンド・リヴィングストン事務所が設計しジェームズ・スチュワート社によるもので、重要文化財に指定されている。7階には三井美術館があり、三井グループで知られる三井家の美術コレクションなどが随時テーマを変えながら展示されている。(休館日が不定期にあるので要事前チェック 三井美術館英語HP)また、金融街ということで日本銀行も見学が可能であるが、事前予約が必要なため気軽な立ち寄りが難しい。しかし、日本銀行の建物の向かいの貨幣博物館が入場無料で見学できるので貨幣に興味があれば立ち寄ってみては。日本の古い小判や世界のお金のコレクションが展示されていて興味深い。
江戸商人の町で買い物を楽しむ
日本橋には江戸時代から続く老舗が多く残っている。百貨店“日本橋三越”は、江戸時代に創業した呉服屋が発展したもの。和紙“はいばら”、扇子“伊場仙”や、骨董“海老屋美術”ほか、漆器、ブラシ、刃物など江戸時代から続く店がいくつもある。高品質な江戸文化を伝える小物や生活用品は一生大切にできるものばかりだ。 一方で、2014年にオープンした日本橋の新しい商業施設コレド室町が注目されている。 「残しながら、蘇らせながら、創っていく」をコンセプトに造られたコレド室町では、日本全国から選りすぐりの質の高い製品や食べ物を提供している。レストランも多く、和食、洋食、カフェ、バー、ラーメン、寿司、など何でもそろっている幅広さが魅力だ。