地下洞窟へ探検している気分
この一帯で採れる石は「大谷石」と呼ばれ、旧帝国ホテルの建築にも使われてきた。古くから大規模に採掘が続けられてきたところは大谷だけで世界的にもあまり例がない。一般公開されている地下採掘場跡は1919年から1986年までの70年をかけて掘り出した地下30m、20000㎡もの巨大な地下空間。戦争中は地下の秘密工場として、戦後は貯蔵庫として利用されていた。長く続く大谷石の階段を下りて石切り場に到着した瞬間に目の前に広がる光景はここが日本とは思えないほど幻想的な空間だ。薄暗い坑内にところどころにゆらめく照明や効果的なポイントには青や赤でライトアップされており、映画の世界に迷い込んだかのよう。石肌には手掘り時代に使われていたツルハシのあとが残り、歴史の重さをずっしりと感じる。地下坑内の平均気温は8度。涼しい状態が保たれているので夏の暑い時期に訪れるのもいい。またこの地下空間はコンサートや美術展、演劇場やスタジオなどにも幅広く利用されている。普段は公開されていないが教会も設けられており、結婚式をあげることもできる。
石の町、大谷。周辺の景観も見逃せない
宇都宮駅から資料館前までバスが出ているが、時間があれば少し手前の大谷橋停留所で降りて周辺散策も楽しみたい。高さ27mの総手彫り「平和観音」、国の重要文化財である千手観音がある「大谷寺」、川沿いの岩壁がひときわ美しい「大谷景観公園」など見どころが多い。