実戦を見据えた構造で本来の城の姿を今に残す
全国で天守を現存している城は12。そのうちの1つ、松江城は山陰地方で唯一、天守の現存する城であり、12天守のなかでも広さ2番目、高さ3番目、古さ6番目をほこる。内部は隅々まで戦闘仕様だ。敵から見つからないよう石を落す「石落とし」はもちろん、防御や見張りのための「附(つけ)櫓(やぐら)」は屋根裏のように入り組んだ構造になっている。地下には深さ24mの巨大な井戸と貯蔵庫があり、籠城戦(ろうじょうせん)に備えていたという。防火防腐のための桐の階段はほかの城では見られない特殊なものだ。最上階は望楼式(ぼうろうしき)と呼ばれる様式で、展望台のように360度見渡せるようになっている。四方に壁はなく、宍道(しんじ)湖(こ)を始め松江市を一望でき、開放感たっぷり。内部の展示も見逃せない。ジオラマを見れば敵の進路、城下町まで広がる防衛体制、城の立地などが手に取るようにわかる。築城にまつわるストーリーが描かれた壁画も分かりやすく、知れば知るほど観光が面白くなるだろう。
舟旅で満開の桜で松江城を楽しむ
松江は水郷としても知られ、宍道湖の湖岸に建てられた松江城は日本3大湖城の1つでもある。築城当時から今も残る松江城を囲む約3.7kmの堀川を小舟でめぐる「堀川めぐり」は、武家屋敷や塩見縄手の老松など風情ある町並みを楽しむことができる。松江城山公園は桜の名所。園内には約200本の桜が咲き、3月下旬~4月上旬は「お城まつり」を開催され夜はライトアップも行われる。恒例の「武者行列」は見ごたえ十分。勇壮な武者や鮮やかな姫たちが松江市内を練り歩く。