松本城について
16世紀後半に築城されて以来、端正な姿を残し続ける松本城。漆黒に塗られたその城は、決して華美ではないが、その無駄のない美しさから、厳しい戦国時代の乱世を生き抜いてきた威厳を感じさせる。しかし、そこには市民の情熱が城を生かした歴史がある。競売にかけられた城を地元の有力者ら市民が取り戻した。その後も、取り壊されることなく復元、修復を重ね、築城当時のままの姿を保ち続ける。現在日本に存在する数少ない“現存の城”で、国宝に指定され、日本の100名城にも選ばれている。
乱世を生き残った城の特徴
松本城の特徴のひとつは平地に建てられていることである。戦国時代において城を敵から守るには、山頂に建てる工法が多く採用された。しかし、それは町の商工業の発展には不便があった。そのため松本城は町の発展のために平地に築城されたことから、敵の襲撃の対策が厳重になされた。城の回りに3重の水堀を作り、城を囲むことで敵の侵入を防いだ。城の内部は傾斜の強い階段が続き、“狭間(はざま)”と呼ばれる小さな窓が多く設けられた。その小さな窓からは外に石や鉄砲を撃つことができるが、外から中へは簡単に打ち込めない工夫がされている。外堀から見る松本城は、水に浮かぶ緊張感をたたえた城塞のように映る。しかし反対側から見る城は、松が美しく穏やかな様子をたたえているのも興味深い。
天守を登り城の内部を体感!
5重6階建てでできた天守は、現在は資料館の役割も果たし、内部には当時使われた武器や装具などが展示されている。極端に傾斜した細い階段を昇れば、敵が侵入しにくい様々な努力の跡を実感できるはず。しかし、最上階にたどりつけば、目の前に広がる美しい(日本)北アルプスの山々と松本の町の景色の美しさに、疲れた体も癒されることだろう。
1年を通して楽しめる景色と イベント(そばまつり)
市民に愛される松本城では、季節ごとのイベントがにぎやかに催される。 春の桜まつり「夜桜会」では、園内の3000本のと城がライトアップされ、夏は7月の和太鼓祭り、薪能では野外で能が上演される。秋には月見、そば祭、冬は氷の彫刻まつりなど、様々な行事で、城と市民が一体となって盛り上がる。