気品漂う上級武士の大邸宅
細川家三代忠利公の弟、細川刑部少輔興孝が正保3年(1646年)に2万5千石を与えられて興したもの。上級武家屋敷としての格式を持ち、熊本県指定重要文化財にもなっており、全国でも有数の立派な武家屋敷。1871年に城内の武家屋敷は城外に出るよう命令があり、刑部家は子飼(現在の熊本市東子飼町)に移り下屋敷を本邸とした。現在の建物は、子飼で下屋敷として使用していたものを1990年から4ヶ年かけて移築したもの。
当時の生活を垣間見ることができる展示の数々
990平方メートルもの広大な敷地には、立派な長屋門をくぐると、唐破風の正玄関と、左側の御次玄関を備えた格式の高い様式の御玄関、ついで14畳もの御客間には欅で作られた大火鉢や、1784年製の時計などの当家伝来の品々も展示されている。重臣たちを迎えた格式ある部屋であった入側造りの表御書院、当主の私室として使用された二階建ての「春松閣」では、銀箔が貼られた襖や丁字棚が風雅な佇まいだ。別棟に書斎の付いた茶室「観川亭」や「御宝蔵」などを備えている。当時の御湯殿(お風呂)や御台所も見学することができ、茶道具なども展示されている。また、「御離れ」として建てられたものを現在は茶室として改装された「抹茶処 喜遊亭」ではお抹茶を頂いて一休みすることができる。秋の紅葉時期には庭園のモミジが美しく色づき、紅葉スポットしても人気。熊本城に訪れた際にはぜひ足を延ばして見学したい場所だ。熊本城・細川刑部邸の共通入場券がお得。