神秘溢れる遠野の民俗を物語る展示品の数々
遠野市立博物館は、日本初の民族専門博物館として1980年に開館した。土地に伝わる民話や神話を編纂した「遠野物語」に関する資料や、長年の収集、寄付、寄贈などによる伝承の民族資料の展示、近代的なマルチスクリーンによるイメージ映像やアニメーション上映など、様々なアプローチで「遠野」という土地を解説する。
テーマ別に趣向を凝らし展開する3つの展示室
第1展示室では「遠野物語の世界」をテーマに、「遠野物語」と、その舞台である”遠野”を知る展示になっている。民話集でありながら、風土、民俗を深く描き記録したこの物語を元に、「山」から「里」へ、そして「町」へと変わって行った遠野の歴史を語る展示内容になっている。編者であり、日本における民俗学の開拓者、柳田國男(やなぎたくにお)に関する資料も豊富である。室内に設置された大型マルチスクリーンでは、民話を題材にした映像や、妖怪を描いた漫画家として有名な水木しげるのアニメーションなどが上映されている。また室内の中央には、遠野の地形のジオラマが展示され、ジオラマスクリーンには”創生神話”などから引用された様々な言葉が浮かび上がる。 第2展示室では「遠野 人・風土・文化」をテーマに、長年に渡り収集された多くの実物資料や写真が展示され、独自の文化を築いた遠野の”山、里、町”に迫る。20世紀初頭の「町」の再現、ジオラマで表現した「村」の生活、神と獣が住む領域として畏怖の念を持って崇めた「山」が実物資料の展示と音響演出によって表現されている。 第3展示室では、その時々によってテーマを変えた企画展が開かれる。