再現された懐かしい農家の暮らし
古くから多くの民話や神話、伝統の生活様式が伝えられてきた遠野。その固有の文化を後世に伝える「伝承園」では、農家の生活を通じて伝承の行事や民話の語りなどが体験できる。園内には遠野独特の曲がり家で国重要文化財指定の「旧菊池家住宅」を中心に、井戸や水車小屋など、かつての農家の住まいが再現されている。また、遠野地方に伝わる民話を集約した「遠野物語」の話者、佐々木喜善(ささききぜん)の記念館では貴重な資料が展示されている。
生活に根差した「遊び」や「民話」を体験する
「伝承園」では古くから伝わる農家の暮らしや遊びなどが体験できる。工芸館では、小さな板に絵やメッセージを書き願いを込める「絵馬」、日本伝統の遊び「お手玉」、遠野伝統のわら細工「馬っ子」を作り、養蚕も盛んだったこの地域の「繭玉からの絹糸採取体験」などに参加できる。また、地元の言葉で民話を聞く「語り部」など、遠野ならではの文化が体験できる。レストランでは素朴な農村の郷土料理を味わうことができ好評だ。
地域に伝わる悲恋の伝説「オシラサマ」
「オシラ堂」にはオシラサマと呼ばれる桑の棒に人や馬の顔を彫り幾重にも着物を着せた人形が1000体ほど飾られ壁を埋め尽くしている。農家の娘が飼い馬を大変可愛がり恋をした。やがて夫婦となったふたりに激怒した父親は馬を殺し木に吊り下げ、娘がその死を知り深く悲しむと父はさらに激怒し馬の首をはねた。すると娘はその首に飛びつき、首と共に天に登りオシラサマになった。後日、娘が悲嘆にくれる両親の夢枕に立ち、臼の中のカイコを桑の葉で飼う様伝えたという。この伝説が土地に根付いた養蚕の由来となりオシラサマの信仰となったと伝えられている。