国の天然記念物として保護される貴重植物の聖地
標高1917mの早池峰山は、周囲に盛岡、花巻、遠野など、岩手の観光拠点があり、それぞれの観光地から望む山景が美しいことでも知られる。しかし、ひとたび山に足を踏み入れれば山肌に巨岩、巨石がむき出しになった野性的な風景と、氷河期を生き抜いた貴重な高山植物が可憐に咲く自然のままの風景が広がる。限られた狭い地域にもかかわらず山域固有の植物が多く見られるため、高山植物愛好家にとって早池峰山は憧れの山として名高い。このような貴重な高山植物が生育する地域や、薬師岳の森林の広がる地域は「早池峰山および薬師岳の高山帯・森林植物群落」、また本州でアカエゾマツが自生する唯一の場所として「早池峰山のアカエゾマツ自生南限地」が国の天然記念物に指定され保護されている。他にも「日本百名山」や「花の百名山」など多くのタイトルを持ち、毎年10万人が訪れるトレッカーに人気の山である。
初夏の高山植物と秋の紅葉の絶景を歩く
「早池峰山」でトレッキングを楽しむには様々なコースがあるが、比較的気軽にトレッキングを楽むなら、小田越(おだごえ)登山口と頂上を往復するコースだろう。片道およそ3時間ほどのコースは山頂に近づくほど岩場が多くなるが、夏には雄大な緑の絶景が広がるパノラマと、足元に楚々と咲く高山植物の美しい風景が望める。また秋には一面の紅葉が美しい。経験者や健脚向けのコースとして河原の坊(かわらのぼう)登山口から上り小田越登山口に下りるコースもあるが、上りに険しい岩場や傾斜が続き、飛び石を利用して川を渡る個所などが含まれているため、トレッキングの際は足元に十分な注意が必要である。