「人間生活の根源」の神を祀る盛岡八幡宮
1062年に戦勝祈願のために建立され、豪族たちに崇められていた「鳩森八幡宮」を始まりとし、その後の1593年、盛岡の藩祖南部氏が「盛岡城」築城の際、この地方の氏神を祀り、人々に広く信仰されるようになった。1680年、第29代南部重信公は神社を造営、整備し、現在に至る「盛岡八幡宮」が建立された。品陀和気命(ほむだわけのみこと)を神として祀り、農業、工業、商業、学問、衣食住など、「人間の生活の根源の神」として地域の生活に根差し、市民の心のよりどころとして慕われ続けている。1997年に建て直され、鮮やかな赤に美しい彫刻が施された「盛岡八幡宮」を中心に、古くから存在していた「笠森稲荷神社」、岩手県にかかわった戦没者を弔う岩手護国神社など、およそ6・6haの敷地内にはそれぞれの歴史と意味を持つ多くの社を見ることができる。
季節を彩る華やかな伝統の祭事
盛岡八幡宮では、1月の新年を迎える「初詣」を始めとした全国の神社でも見られる恒例行事だけでなく、地方色豊かな様々な祭事が執り行われている。毎年1月15日に行われる「裸参り」では、およそ130人の青年が素肌に晒を巻き、腰みのだけの姿でを勇ましく極寒の中を練り参拝する。また9月13日から4日間に渡り行われる「例大祭」では、歌舞伎や歴史上の名場面を飾り付けた華やかな山車が次々と町を渡り、神輿やお囃子も賑やかに、盛大かつ幻想的な祭りが行われる。そのハイライトでもある「神事流鏑馬」では、馬にまたがり駆け抜けながら矢を放ち命中率を競う。美しい装束に包まれた射手による勇壮なこの神事は、五穀豊饒、国家の安泰、氏子たちの家内安全を祈願する華麗な祭典である。