奇岩や絶壁が作る秘境の景観
猊鼻渓は岩手県を流れる北上川の支流「砂鉄川」の流れる渓谷である。川沿いに高さ50mを超える石灰岩の岸壁がそびえ、奇岩が多く点在し、滝が流れ、鍾乳洞も見られるなど神秘的な風景が途切れることなく続く。その秘境的な景観は国の史蹟名勝天然記念物、そして日本百景のひとつに選ばれている。昔は風土記や絵画図にも記されることない絶対の秘境として隠されていた歴史を持つ。
花が作り出す四季折々の美しさ
猊鼻渓といえば“舟下り”だが、渓谷を流れる砂鉄川は流れが緩く、水深も浅く、とても穏やか。船頭の歌う民謡「げいび追分(おいわけ)」に耳を傾け、ゆったりとくつろぎながら絶景を楽しみたい。桜の季節には桃源郷のようであり、雪景色では水墨画のような情緒あふれる景色が広がる。しかし、四季折々に美しい猊鼻渓が最も美しいと言われているのは5月下旬から6月上旬に咲く藤の季節である。清流沿いの断崖に咲く紫の藤の房が新緑に映え、その美しさは格別だ。
季節ごとの趣溢れる特別企画
猊鼻渓舟下りでは、一般の舟だけでなく季節を楽しむための趣向を凝らした特別な舟下りを楽しめる。春の新緑と秋の紅葉のシーズン限定の舟「茶席舟」では、川を下りながら優雅に茶会を楽しめ、夏限定の「夕暮れ舟」では、午後5時から夕暮れに染まる猊鼻渓を楽しむ。また、12月から2月に運航される冬限定の「こたつ舟」では、日本独特の“こたつ”が舟に備えられ、温まりながら”鍋料理“や”釜飯“など日本の味に舌鼓を打ちながら雪景色を満喫できる。他にも貸し切り船があり、船上結婚式なども挙げることができるので、興味があれば問い合わせてみては。