日本で唯一現存する、代官所「高山陣屋」
高山陣屋は、高山城主金森氏の下屋敷のひとつであった。金森氏が上ノ山(山形県)へ移されたことで、飛騨は徳川幕府の重要な直轄地に。以来、明治維新までの177年間、代官や郡代がこの場所で飛騨の政治を行った。幕末には全国に60数ヵ所あったと言われている郡代・代官所の中で、当時の建物が残っているのはこの高山陣屋だけ。一番古い建築物は、1600年ごろに建てられたという。
400年前の様子を今に伝える、郷土博物館は必見
現在は郷土博物館となっている高山陣屋。年貢の取立てや塩の販売の様子など、当時行われていた役所の仕事がわかりやすく展示されていて興味深い。中でも注目したいのは1695年に高山城から移築された日本で最大・最古の御倉だ。年貢米を貯蔵する8つの蔵には蛤刃の跡、当時の役人がメモした筆跡などがそのままに。当時を知ることができるさまざまな資料が揃う。また、入り口付近に待機する「陣屋五人衆」と呼ばれる高山陣屋通のガイドは、ぜひ利用したい。無料にも関わらず60分間、歴史や陣屋内の見どころを案内してくれる。
朝市で、地元の人々や名産品との出会いを楽しもう
陣屋前では毎朝6時頃から12時まで、朝市を開催。高山陣屋は高山駅から7~8分と比較的に近いことから観光客にも人気で、飛騨高山の風物詩として欠かせないものとなっている。朝市では採れたての野菜や山菜、自家製の漬け物をはじめ、花や果物、餅、味噌、手作り民芸品など、地元の名産品がずらり。「よう来てくれんさったな、また来てくれんさいな」と、素朴さと情緒ある飛騨ことばがほっと心を癒してくれる。買い物はもちろん、地元の人たちとの交流を楽しむのもまた、旅の醍醐味だ。