59棟の合掌造りの家屋が見られる、世界遺産の集落
手のひらを合わせたような、どっしりとした茅葺き屋根が特徴の合掌造り。この伝統的な民家が現存するのは、日本で岐阜県の白川郷とお隣富山県にある五箇山だけと言われている。現在、3つの合掌造りの集落が世界遺産に登録されているが、中でも白川郷は最大の集落。山麓の林の一部を含む約45.6haが重要伝統的建造物群保存地区として保存され、歴史的景観が維持されている。このエリアには、59棟の合掌造りの家屋が点在。江戸時代から変わることなく続くのどかな光景を楽しむことができる。
合掌造り家屋では、今もなお人々の暮らしが健在
白川郷で代表的な合掌造り家屋といえば、和田家だろう。築後約300年が経過した現在も、和田家の方が日常の生活を続けている。白川村に残された合掌造りの中で最も規模が大きい建物で、庭や生垣、周囲の田畑や水路などの周辺環境も美しく保存されている。現在は、1階の一部と2階を公開。和田家で代々使用された民具などを見学することができる。他にも江戸時代の医療道具が残されている長瀬家や、合掌造りの中でも完成度が高いと評される神田家などの民家が見学できる。
五穀豊穣を願う酒どぶろくは、ここだけで味わえる楽しみ
白川郷でぜひ味わいたいのが、どぶろくだ。どぶろくとは米を原料とした濁り酒のこと。農村や一般家庭でどぶろくを造ることは法律で禁じられているが、白川郷では一部の神社で許されている。毎年10月14日~19日には、白川郷内の各神社で来季の豊穣を祈るどぶろく祭りを開催。収穫した米から造ったどぶろくが奉納された後、参拝者に振る舞われる。祭りに行けない方は、白川八幡宮境内にあるどぶろく祭の館へ。入館した人は特別に、1杯のどぶろくが試飲できる。