豊かな自然がそのまま保存されている美しい渓流
奥入瀬渓流は、十和田湖畔にある「子ノ口」(ねのくち)から「焼山」(やけやま)にかけて流れる日本屈指の美観を持つ渓流である。およそ14キロの渓流には、自然が作り上げた雄々しい断崖、変化に富む姿が美しい清流や滝が点在する。この地域は十和田八幡平国立公園に属し、国指定の特別名勝および天然記念物として保護され、野鳥や清流に棲む魚だけでなく、カモシカやトウホクサンショウウオなど珍しい野生生物も生息する。まさに東北の深い秘境を思わせる神秘性で人々を魅了する自然豊かな聖域である。
奥入瀬渓流トレッキングの楽しみ
奥入瀬渓流では、日本特有の天然樹木に囲まれ、個性溢れる滝や岩の作り出す苔むした景観が楽しめる。中でも3つの渓流が合流し荒々しい流れを生む「三乱の流れ」(さみだれのながれ)、岩にぶつかり激しく流れる「阿修羅の流れ」(あしゅらのながれ)、幅20mの奥入瀬渓流最大の滝「銚子大滝」(ちょうしおおたき)など、ダイナミックな景勝は見もの。また、春の輝くような新緑、空を木々が覆う涼やかな夏、鮮やかな秋の紅葉、そして冬の厳しい雪とつららが作る絶景など東北の厳しい自然が生む四季折々の景観は、いつ来ても特別な風景で魅了する。
奥入瀬渓流散策のためのヒント
豊かな自然が見事に保存される奥入瀬渓流は、渓流に沿って車道と共に遊歩道が整備されており、一般ツーリストにも歩きやすい。「石ヶ戸」(いしげど)から「十和田湖」(とわだこ)に向かって歩くコースが風景も美しく人気だが、14kmの行程にはトイレは1か所しかないため休憩は計画的に。また、冬期には雪が降り、気温も大変低いため、雪対策に適した靴と服装で安全な自然散策を心掛けてほしい。