本州最北の霊場「恐山菩提寺」
日本三大霊場のひとつ恐山(おそれざん)は、古くより人々の信仰対象の地とされてきた。「恐山菩提寺」(おそれざんぼだいじ)は862年に慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)により開山され、天台宗の修験道場として栄えた。その後1457年に廃寺となったが、1530年に再興を果たし、本尊である延命地蔵菩薩(えんめいじぞうぼさつ)は、「人間の様々な苦しみから救ってくれる仏」として信仰を集める。また、死者への供養の場としても知られ、恐山大祭では、「イタコ」と呼ばれる交霊術師による”口寄せ”も行われ、広く知られている。
神秘をたたえる荒涼の大地
「人は死ねば、恐山へ行く」、「この世にいながらあの世に近づける場所」と土地の人々に考えられてきた恐山は、本州最北の地が持つ独特の秘境性と、荒涼とした風景で人々を魅了する。霊界と俗界の境界と言われている「三途の川」にかかる印象的な朱塗りの太鼓橋、荒涼とした岩場が続く「血の池地獄」「無間地獄」など、あらゆる「地獄」の風景を巡り、更には多くの石が積み重ねられた景色の「賽の河原」を越えると、やがて美しい白い砂丘の広がる青い湖「宇曽利湖」にたどり着く。その風景は極楽そのもの。まさに神秘の絶景である。
恐山でのくつろぎのひと時
霊場恐山には数種類の温泉が湧いている。4つの湯小屋は一般開放され無料で利用することができる。また宿坊と呼ばれる寺院の営む宿泊施設があり、恐山ならではの神秘体験を極めるのに宿坊滞在もおすすめである。宿坊ならではの「精進料理」(殺生を行わない野菜中心の料理)を味わい、僧侶と共に祈祷に参加する経験は、規律は少々厳しいが、特別な日本体験になることだろう。